統合医療研究所 impinj

亀頭包皮炎の症状に対するスギ葉精油の有効性の検討

実施施設
医療法人社団 湘南太陽会 スカイビル腎・泌尿器科クリニック
研究責任者
医療法人社団 湘南太陽会 スカイビル腎・泌尿器科クリニック
院長 大塚則臣
研究実施代表者
医療法人社団 湘南太陽会 スカイビル腎・泌尿器科クリニック
看護師 大曽根久美子

研究の背景・目的

泌尿器科を受診する患者の中で多く見られる亀頭包皮炎は、赤みやかゆみ、痛みを伴うこともある炎症である。現在ステロイド剤の皮膚塗布や抗生物質での治療が多く、ステロイド剤の皮膚への副作用の問題、抗生物質の耐性菌の問題、炎症の再発性の高さの問題などがある。 スギ葉精油を含有したジェル剤(以下、スギ葉ジェル)を用いて、亀頭包皮炎の炎症が抑えられることを検証し、スギ葉精油の抗炎症作用の有用性を検討する。 また、スギ葉ジェル使用が亀頭包皮炎の治療の選択肢の一つになり得るか検討する。

対象者

成人男性、亀頭包皮炎患者5名。
来院した患者の中から医師による所見によって選出し、パッチテストで異常が認められない者を対象者とする。基本的に強度の発赤・腫脹がある状態または傷・びらん・発疹が有る状態の患者は除外し、初発の患者もできるだけ除外するものとする。

方法

1日2回1週間スギ葉ジェルを患部に塗布する。
スギ葉ジェル使用前、使用後に医師による所見、被験者が回答するアンケートにて評価する。

スギ葉ジェルについて

入手元:昭和薬科大学臨床化学分析教育 千葉研究室
スギ葉精油濃度2%(一般的にアロマセラピーで用いる範囲内)
胃瘻増設患者の口腔ケアに使用し口腔粘膜乾燥症における有効性、スギ葉精油の抗菌性による日和見感染数の減少、口臭および舌苔の低下が報告されている。(千葉ら)

評価について

医師は患部の状態について5段階で評価する。
患者は以下の項目を5段階で自己評価する。
・かゆみ
・痛み
・垢の量
・膿の量 ・総合状態

結果

研究実施施設:スカイビル腎・泌尿器科クリニック 被験者数: 6
ID カルテ番号 年齢 同意取得日 レスキューの使用 DM既往 AE
1 20164503 36 2016/8/1
2 20162121 23 2016/8/8
3 20162306 42 2016/8/23 有(SGLTⅡ阻)
4 20150398 24 2016/9/12
5 20162696 32 2016/9/23
6 20162860 26 2016/10/4

副作用の少なくはないステロイド外用剤に比べて、有害事象を認めなかったスギ葉ジェルの有用性が期待できた。

ときに再発性難治性亀頭包皮炎症例から糖尿病の診断に至ることがあるが、今回も1症例に2型糖尿病がみられた。糖尿病治療薬として注目されているSGLTII阻害薬使用における副作用としての尿路感染症増加も考えられる。

糖尿病による昜感染状態ではステロイド外用剤が使いにくい場合もあり、患者個々の状況に柔軟に 応じ、スギ葉ジェルなどの代替物質による試みも有用である。


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